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犬の肛門腺のしぼり方|溜まりやすい子のサインで見分ける

「肛門腺しぼりって、家でやったほうがいいんでしょうか」——サロンでお預かりのときに、意外なほどよく聞かれる質問です。ネットで調べると「毎月必ず」と書いてあるページもあり、一方で「うちの子は一度もしたことがない」という声も耳にする。どちらが正しいのか分からず、なんとなく不安を抱えたままの飼い主さんは少なくありません。

この記事では、肛門腺しぼりが「すべての犬に毎回必要な作業ではない」という前提から、あなたの愛犬が溜まりやすいタイプかどうかを見分けるサインと、自宅でできる範囲/人に任せたい範囲の線引きをお伝えします。

肛門腺とは?「絞らないと大変なこと」の前に知りたい仕組み

肛門腺(こうもんせん)は、肛門の左右、時計の文字盤でいうと4時と8時のあたりにある小さな袋です。ここには独特のにおいを持つ分泌液がたまり、本来は排便のときなどに便と一緒に自然に押し出されていくと言われています。もともとは、においで自分の情報を残すための器官だと考えられています。

つまり、多くの犬は日々の排便の中で自然に出せているということです。だから「一度もしぼったことがないのに何の問題もない」という子が実際にいます。逆に、うまく出しきれずに溜まってしまう子もいます。ここに個体差があるため、「全頭に毎回必要」とは言い切れないのです。

溜まりやすさに関係すると言われている要素には、体の小さな犬種であること、シニアになって筋力が落ちてきたこと、便がやわらかい/かたいといった便の状態、体重が増えて出しにくくなっていること、などが挙げられます。ただし、これらに当てはまるからといって必ず溜まるわけでもありません。あくまで「傾向」として頭に置いておく程度がちょうどよい距離感です。

わが子は溜まりやすいタイプ?見分けたい5つのサイン

「必要かどうか」を決めるいちばんの手がかりは、教科書の頻度よりも目の前の愛犬のふるまいです。次のような様子が続く場合は、溜まりやすいタイプかもしれない、という視点で見てみてください。

1. 床にお尻をこすりつけながら歩く いわゆる「スクート」と呼ばれる動きです。座ったまま前足で進んで、お尻をカーペットや畳にすりつける。もっとも分かりやすいサインのひとつとして知られています。

2. お尻や尾のつけ根を執拗に舐める・噛む 気になる感覚があるとき、犬は舐めて解消しようとします。特定の一か所を繰り返し気にしている場合は、記録しておく価値があります。

3. 尾を追いかけるようにくるくる回る、突然お尻を気にする 遊びの延長ではなく、落ち着いていたのに急にお尻を振り返るような動きが増えたときは要注意です。

4. 独特のにおいが残る ソファやベッド、抱っこした後の服に、なんともいえない生臭いにおいが残る。分泌液が少量出ていることがあります。

5. 座るときにためらう、片方に体重をかける 座る動作がぎこちない、いつもと違う座り方をする。言葉のない違和感の表れであることがあります。

こうしたサインが一度きりで終わらず、何日か続くかどうかが見きわめのポイントです。1回だけなら、たまたま便の後がすっきりしなかっただけかもしれません。数日にわたって繰り返すなら、様子を見るというより、人の目に見てもらう段階です。

そして大切な前提として、お尻を気にする様子の背景には肛門腺以外の理由が考えられることもあります。赤み、腫れ、出血、明らかに痛がる、熱っぽい、食欲が落ちているなどが重なっている場合は、しぼる・しぼらないの判断以前に、動物病院にご相談ください。素人判断で触ることが、その子にとってつらい時間になってしまう可能性があります。

自宅でのしぼり方と、その前に知っておきたい注意点

ここでは一般的に説明されている手順をお伝えしますが、先にお伝えしたいことがあります。肛門腺しぼりは、力の加減や場所を誤ると痛みや炎症につながることがあると言われている、繊細な作業です。初めての方が動画や記事だけを見て挑戦するのは、あまりおすすめできません。可能であれば、最初の1回はサロンや動物病院で実際に見せてもらうのが、遠回りに見えていちばん安全な道です。

そのうえで、一般的な流れは次のようになります。

  1. タイミングはシャンプー前後。分泌液は独特のにおいが強く、飛ぶこともあります。洗い場や浴室など、あとで流せる場所で行います。
  2. 尾を軽く上に持ち上げる。肛門周りが見えるようにします。片手で尾、もう片方の手で作業するため、暴れる子は2人がかりのほうが安全です。
  3. ティッシュやガーゼを当てる。飛び散り防止と、出たものの量・色を確認するためです。
  4. 肛門の下側、4時と8時の位置を親指と人差し指で軽くはさむ。指先で小さなふくらみを探します。
  5. 下から上へ、押し出すように軽く圧をかける。ここで「強く」「何度も」やらないことが最大の注意点です。

押しても出ない場合は、そこで手を止めてください。 出ないのは「溜まっていないから」であることも多く、無理に力を加えれば周囲を傷める可能性があります。強く握る、爪を立てる、何分もこすり続ける——これらはすべて避けたい行為です。

また、以下のような様子があれば、自宅での作業は中止して人に任せる判断をしてください。

  • 触られるのを強く嫌がる、鳴く、怒る
  • 触ろうとした部位が赤い、熱い、硬くしこりのように感じる
  • 出てきたものに血が混じっている、色が明らかにいつもと違う

どれも「様子を見る」ではなく「相談する」に振り分けたい状況です。

サロンに任せるという選択と、頻度の考え方

多くのトリミングサロンでは、シャンプーやトリミングの工程のなかで肛門腺のチェックが含まれています。プロは日々たくさんの犬のお尻に触れているため、「この子は溜まりやすい」「今日は必要なさそう」という判断の目が育っています。この必要かどうかを見きわめてもらえることが、任せるいちばんの価値かもしれません。

頻度については、「何週間に1回」と一律で決めるより、トリミングやシャンプーのタイミングに合わせてチェックしてもらい、必要な子だけ処理するという考え方が現実的です。トリミングに定期的に通っている子であれば、それだけで十分に間隔が保てているケースも多くあります。

GROOM HAUSでも、お預かりの際に肛門腺の状態を確認し、その子ごとに必要な処置をご相談しながら進めています。「うちの子は溜まりやすいですか」と一度聞いてみると、その後の家でのケアの見通しが立ちやすくなります。メニューの内容についてはこちらもご覧ください(/menu)。初めてのご利用で流れが気になる方は/firstもあわせてどうぞ。

お迎えのときに、「今日は溜まっていましたか」「量はどうでしたか」と確認する習慣をつけると、記録がたまっていきます。前回は必要なかったのに今回は多かった、という変化に気づけるのは、飼い主さんとサロンの両方が見ているからこそです。

「しぼる」より前にできること

肛門腺しぼりは、あくまで溜まってしまったものへの対処です。日々の暮らしのなかで、飼い主さんが観察者としてできることがいくつかあります。

便の状態を見ておく やわらかすぎる、かたすぎるといった状態が続くと、自然に押し出す力が働きにくいと言われています。フードや水分の摂り方について気になることがあれば、動物病院で相談してみてください。ここでも、特定の商品を自己判断で切り替えるより、まず相談が先です。

お尻まわりの毛を短く保つ 毛が長く伸びていると、分泌液や汚れが絡まって見えづらくなります。トリミングのときに「お尻まわりはすっきりめで」とお願いしておくと、においの変化に気づきやすくなります。

「いつもの様子」を知っておく 座り方、お尻の舐め方、抱っこしたときのにおい。異常に気づけるのは、正常を知っている人だけです。難しく考えず、日常の一場面として眺めておくだけで十分です。

まとめ|「毎回やる」ではなく「必要な子を見つける」

肛門腺しぼりについて覚えておきたいのは、次の3点です。

  • 多くの犬は排便のときに自然に出せており、全頭に毎回必要な作業ではない
  • 床にお尻をこすりつける、同じ場所を舐め続ける、独特のにおいが残る——こうしたサインが数日続くかどうかが見きわめの手がかり
  • 自宅で行う場合は「押して出なければやめる」が原則。強い痛がり方、赤み、出血がある場合は、しぼるかどうかを考える前に動物病院にご相談ください

「やらなければいけない作業」として構えるより、「わが子は溜まりやすいタイプなのかを知る」という視点に変えると、ぐっと気持ちが軽くなります。分からないうちは、無理に自分で完結させなくて大丈夫です。プロの目を借りながら、少しずつわが子の基準を作っていきましょう。

ご予約やご相談は予約アプリLINEからお気軽にどうぞ。

この記事は一般的な情報をまとめたものです。愛犬の体調や皮膚の状態で気になることがある場合は、自己判断せず動物病院にご相談ください。

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